スーザンと別れてから、何もかもがつまらなくなって…
僕が求めたのは、次の相手でも、明るい街明かりでもない、
暖かな、陽の光だった。
「はー。」
「溜め息から出される空気、それが100年後には世界中の自然を脅かす、大いなる脅威になるらしい」
「僕の呼吸が世界を脅かす、なんて素敵なおとぎ話だ…ってマイク!」
「よぅっ」
「ようじゃない。何やってるんだいこんなところで!」
「こうして暖かな陽の光を浴びて、まどろむのも悪くない〜」
「まどろむのに、そんなボロを着る必要があるのかい?」
「ここは暖かい。風邪をひかない程度に、ちょうどい…ハーックション!」
「暖かいから、花粉が飛んでいるらしいね」
「そうだ〜ックション!」
「いいからこれ羽織れよ。」
「悪い…」
僕の悪友、マイク。
僕たちがつるんでいると、大抵驚かれる。
こいつは売れない物書きで、僕は大企業の御曹司。
住む世界が違うのに、どうしてかって。
こいつと初めて会ったのはハイスクールのときだから、
どういうわけか、もうかれこれ10年以上の付き合いになる。
僕の本音を見られるのは悔しいし、
本音を隠すのは巧いつもりだ。
でもこいつだけはいつも、口にしない俺の言葉がわかっていた。
僕自身でさえ、わからないときがある、
僕の本音と建前を。
「…ニー…ジョニー!」
「っえ?」
「聞いてなかったのか?」
「あ、ごめん…」
「ったく、溜め息ついて、ボーっとして、どうした?またスーザンと喧嘩したのか?」
「別れたよ」
「え?」
「婚約は解消!全て振り出し!」
「解消…って…ヨットで船旅、帰ったら結婚するんじゃなかったのか?!」
「ああそうだ、少なくとも僕はそのつもりだった。だがスーザンは違ったらしい。」
「ちょっと待てよ、意味がわからない…」
「それは僕も同じ。あんな女見たことない。」
「で、今は?」
「ん?」
「傷心のジョニー・ケイス様は、誰にその傷を癒してもらってるんだい?」
「太陽かな」
「は?」
「マルセイユの太陽は暖かい。君はパリでは凍死してしまうだろうね。」
「一人で…いるのか?」
「正確に言えば、一人で『いた』んだ。もうすぐここを離れる。君も一緒にね。」
「パリに戻るのか?それならあいにく、僕は凍死なんてしたくないからね。」
「アメリカだよ。」
「アメリカ?」
「父さんに呼ばれたんだ、会社に戻るよ。」
「いよいよ社長か?」
「そうなるための条件は、一つ欠いてしまったからね。」
地に足をつけ、温かい家庭を築く。
何でもできるはずの僕が、唯一できないこと…
「条件?あ、嫌味を言わないこと」
「は?」
「すぐ怒らないこと」
「マイク?」
「未練たらしくないこと」
「…」
「いろんな女を口説かないこと…あああと、嘘をつかないこと!」
「ご指摘ありがとう!そうだねぇ僕は嫌味たらしくて怒りっぽくて、社長には向かないかもしれない」
「ジョニー」
「でも正解は一つだ」
「未練たらしくないこと?」
「一体僕のどこが…!」
どこが!
どこが…
未練…なんて…ないさ。
「その条件、アメリカで見つかるのか?」
「…さあね。」
「あーあ、この街ともお別れか。」
「ついてくるか?」
「おいおい、君が言ったんだろう」
「よし!そうと決まれば出発だ!!」
「自由の国」
「アメリカ!」
「気の強い女が多い」
「アメリカ?!」
「僕らの故郷」
「「アメリカ!!」」
行こう、幸せ夢見て。
僕らの船の先に、何があるかはわからないけれど…
「さあマイク、とりあえず買い物だ」
「アメリカ行きの、船をお買い上げ?」
「まずは…君の服!」
「僕は君のトランクに入れてもらえば十分さ。」
「ジョニー・ケイス様に持たせる気かい?」
「失礼致しました陛下。」
なんとかなるさ。
きっと、ね。
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watako様より、SS頂きましたo(*^o^*)o
書く人間が違うと、こんなにも違う作品になるのだなぁ〜と感じております。 watakoサマ、ありがとうございました☆ [2005.03.28]
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